世紀の崩落  スターリン主義ソ連邦解体の歴史的意味

黒田寛一著作編集委員会 編         (日本図書館協会選定図書)


『世紀の崩落』発刊にあたって (抜粋)
  ソ連共産党の自己解体・ソ連邦の崩壊という世界史的激動のただなかで黒田寛一が書き記した諸論稿を本書は収録している。
  アメリカ帝国主義と世界を分割支配し 「社会主義」 大国を自称したスターリン主義ソ連邦の自己解体的崩壊。これはたんなる過去の出来事なのではない。戦火と飢餓・貧困、凄まじいまでの地球環境の破壊に覆われたこの悲惨な二十一世紀世界をひらいた転換点がここにある。ソ連邦崩壊に欣喜した帝国主義者どもが 「共産主義の終焉」 「マルクス主義の破産」 を叫びたて、唯一の核超大国として生き残ったアメリカ帝国主義は傲岸無比に世界を蹂躙し、他方で、世界の勤労人民は 「脱イデオロギー」 の濁流にのみこまれ労働運動も衰退させられたのだからである。それゆえ、ソ連邦崩壊という問題の省察をぬきにしては、今日の世界をつかみとることも、その変革を希求することもできないのである。
  本書に収めた諸論稿は、スターリン主義にたいする著者の怒り、革命的共産主義運動の力でスターリン主義ソ連邦を革命的に解体することができなかったことへの慙愧、そして変革への烈々たる情熱をも浮かびあがらせながら、読むものに迫ってくるにちがいない。悲惨をきわめる現代世界の変革を意志したたかわんとするすべての人びとにとって、必ずや本書は貴重な精神的武器になるであろう。

目次

 
  T
 八・一九クーデタ
 世紀の崩落
 破産の弥縫 ゴルバチョフ政権の路線転換
 断末魔の説教
 内乱の必然性 エリーツィン VS ゴルビー
  U
 ボリスの怨念
 ロシアの混沌 世紀末の悲惨
 〈社会主義市場経済〉
 ボリスの断末魔
 ボリスの茶番劇
 暗闇の中でのメモ
  スターリン主義体制のブルジョア的破壊の混迷

 
 V
 激震の前兆
 共生の哀願
 転換の軋轢
 哲学の蒸発


戻る